トリオオープン①


1回戦
●村上 健 Murakami Takeshi
○麻生大祐 Asao Daisuke

この試合は33手目まで王座戦の村上vs長野戦と同じ進行になりました。34で長野四段はh5と打ったのですが、麻生四段はg3! これは好手で、黒がe3に打ちにくくなっています(横も返ってしまう)。35で次に黒e3を狙いますが、36が再び好手。37~39は長考の所産。黒b7を残し、上辺方面に白が手をつけにくい形にして粘ります。42が敗着。ここは白g7!を恐れていました。こう打たれると黒はなかなかホワイトラインが切れず、切れば白g8の手稼ぎが生じます。これが白唯一の勝ち手でした(それでも僅かに白+2)。42で左上に白から打てない3個空きを作ってしまったのが大きく、以降はどう打っても奇数理論が利き、白が細かく勝てない形になってしまいました。47で黒はどう打ちますか?

正解は黒g2。これなら白f1→黒g1→白h1→黒h2→白a8→黒b8のあと、白は右下の4個空きに先着させられます。この形の4個空きで先着するとどのような手順で打っても損が大きく白は勝てません。ところが47で右辺を取ってしまうと白g7。この右下の形は奇数理論を維持して白g8→黒h8となれば黒が得できますが、奇数理論を維持するためには右上の5個空きで黒が手止まりを打うたねばならず、そうなると白が右上隅から白h8→黒g8と右辺を取る手順が生じます。右辺を取らせるのは損なので、黒はいずれかの段階で黒h8→白g8の交換を入れざるを得ません。つまり47で右辺を取ると右下の4個空きは必然的に黒h7→白g7→黒h8→白g8という手順で埋まることになり、これは実戦のように「白→黒→白→黒」で右下が埋まる手順に比べて明らかに黒が損をしているのでした。麻生四段は47h7を想定していたのかもしれません。47g2を見て白が長考しますが、もはや黒勝の局面になっていました。



2回戦
●斉藤理基 Saitoh Riki
○村上 健 Murakami Takeshi

この試合は上辺の処理の仕方に迷いました。長考の末に16~22を決断。爆弾を作られるのはマイナスですが、23で黒を左方面に追い出して白が打てると判断しました。その判断は正しく、以後白やや良しの局面が続いたのですが…。読者のみなさんは44でどこに打ちますか?

実戦44が敗着! ここに打ってしまうと50まで必然の流れです。途中47でh1は白a8→a7の連打。48~50も右上で手止まりを打つ唯一の手順。そこで51が好手! 以下普通に白h5→黒h1→白g1→黒h7→白g7では次に黒g8!の好手で白全然足りません。私はやむを得ず52と右上の手止まりを諦めて右下の手止まりを確保したのですが、足りませんでした。

44の正解は白a7!でした。以下a8→白b8→黒e8→白d7→黒f8…というような流になりますが、黒がどう進めても白は右下の手止まりを打つことができます。そこで右上の4個空きに黒に先着させて白が勝てるのでした。

1試合目の対麻生戦で似たような4個空きを相手に先着させて勝ったのですが、この試合でも同じ構想が最善でした。実はこの手(44でa7)も少し考えたのですが、実戦の展開で勝てると思ってしまったのです。44の段階で好手51の存在に気付けなかったのが敗因だと思います。

続きはまた後日に。

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