東京名人戦




1回戦
●時 優瑚 Toki Yugo
○村上 健 Murakami Takeshi

ずっと互角の良い勝負です。53が好手。白が平凡にh1の隅を取ると黒h2→白g3→黒g8…で右下が黒の連打になります。みなさんなら54でどう打ちますか?

最善手は白h2! 以下黒h1→白a1→黒b2→白g8(普通に白g3は黒からg8、h8の連打で白損)→黒h8→白g3で白の4石勝ち(34対30)です。残り時間が1分ほどあったので私は実戦の展開を数え、白引き分け勝ちだと思っていたのですが、途中で数え間違いがあったようで2石負けになってしまいました。

54ではg8やa1でも白2石勝ちでした。短時間で正確に石を数える訓練が必要ですね。



2回戦
●村上 健 Murakami Takeshi
○金子昴大 Kaneko Koudai

22はf6を予想していたので少し意外でした。32は悪手。ここは白h4と打って白g6→f6の連打を残せば互角です。実質的な敗着は38。ここは白d1が正解でそう打たれると黒は迷います。黒a8→白b8→黒b1なら簡明ですが、黒b1!と打って黒a8→b8の連打を狙う手も魅力的で、もしかしたら私はそっちを選んでいたかもしれません。しかし38d1→黒b1には白g2!という返し技があり、以下黒e2→白g1と打たれると形勢的には引き分けながら、黒にとって非常に難しい局面になるところでした。これなら白にも十分チャンスがありました。

白50で時間切れ。51以降は黒の勝手打ちです。(White lost on time at move 50. Murakami made the rest of the moves.)



3回戦
●岩田浩幸 Iwata Hiroyuki
○村上 健 Murakami Takeshi

34はやはり悪手でした。ここは普通にa7がベターです。しかし黒にも悪手があり41となった局面は白かなりの優勢です。42でどこに打ちますか?

正解は白b7。私もこれが第一感で、これで普通に白優勢です。ところが「白d8→黒f8の交換を入れてから白b7と打った方があとあと打ちやすいかな」と考えてしまいました。これが全く読み不足で42d8はなんと22石差損の大悪手!! 次に岩田五段が打った好手を予想してみて下さい。

43a5が痛烈! 普通に白a4なら左下に白から手止まりの打てない3個空き(白が先着しても白b8→黒a8→白??→黒b7と黒に手止まりを打たれる)ができて勝てません。実戦はやむを得ず44b8としましたが、黒は悠々とa4へ。本来黒が連打できない2個空き(a4とa5)を黒に連打させては良いはずがありません。以下は黒の快勝です。特に右上と左下の黒の打ち方は中級者の参考になるので、ぜひ並べてみて下さい。



4回戦
●菱山裕一 Hishiyama Yuichi
○村上 健 Murakami Takeshi

23は悪手で、g3ならば互角でした。以下白かなりの優勢ですが、36で間違えてしまいます。35までの局面でどう打ちますか?

私は白b2。確かにこれは将来的に左辺と上辺両方の白取りを残した普通のX打ちで、コンピューターの評価でも白c1→黒b1→白b2が白+8、単に白b2も+8と全く同価値です。しかし36b2は終盤で黒に色々な連打の狙いを与え白の寄せが難しくなってしまいました。「上辺も取れるかも…」という欲を捨てて、36では白c1→黒b1→白b2という確実な手渡しの手順を選ぶべきでした。

終盤更に白の石損があって非常に微妙な形勢となります。私は48で迷いました。左上に黒a1→白a2→黒c1!→白??→黒b1という連打筋があるのが白にとって悩みの種です。この連打を避けるために黒a1→白b1→黒c1→白a2と寄せると黒に第2行を確保されてしまいます。36で欲張った罪です。色々な展開を読んだのですがなかなか勝ちを数え切れず、確信のないままに打ったg7が悪手。みなさんなら48でどう打ちますか?

正解は普通に白a8→黒a7→白d8。これには黒b1!→白c1→黒g8があって自信が持てなかったのですが、以下白h1→黒g2→白h8→黒g7→白e8→黒パス→白a2!(斜めが多く返る)→黒a1で白の6石勝ちでした。棋譜の右下にあるPutの左の□をクリックすると自由に局面が進められるようになるので、ぜひこの展開も並べてみて下さい。もう一度Putの左の□をクリックすると実戦の局面に戻ります。48a8→黒a7→白d8に対しては黒a1がベターなのですが、それには白b1→黒c1→白a2→黒e8となります。ぜひPutをクリックしてこの黒e8まで並べてみて下さい。次の白はどう打つべきでしょうか?

正解は白g2! 以下黒h1なら白g8、黒g7なら白h8。どちらも綺麗に白が最後の一手を打つことができます。

さて実戦に戻ります。49と50はどちらも最善ですが51は10石差損の悪手! この50までの局面では白a8が好手なので(黒a7に割り込むと横も返ってしまう)、その好手を消すために51a7!が最善。以下白a8→黒a1→白a2→黒b1!が好手。ここで白c1は黒g2!→白h1→黒g8→白パス→黒e8で黒の快勝。従って白はc1の代わりにg8→黒e8→白c1→黒g2→白h1で黒の4石勝ちです。

実戦52はa8なら白勝ち。53は先ほどと同様にa7!→白a8→黒b1!なら黒勝ち。目まぐるしく形勢が入れ換わります。54で白はどう打つべきでしょうか?

正解は白h1→黒b1!(c1とg8を見合いにする好手)→白g8→黒c1→白e8→黒a7→白a8で白の引き分け勝ち。実戦の54が敗着となりました。



5回戦
●上倉大亮 Kamikura Daisuke
○村上 健 Murakami Takeshi

13が有難く感じました。これは白b4を防いだ手ですが、白e2と打たれるとf5に白の好手が残ってしまいます。13f5なら同じく白b4の手を消し、白の代わりに黒がf5に打っています。以下白が徐々に優勢に…。46は勝負を簡明にする好手。黒はc8に打たざるを得ませんが(打たないと白が打ちます)、これで黒b2とする手が消えてしまいます。



6回戦
●大内康裕 Oh-uchi Yasuhiro
○村上 健 Murakami Takeshi

黒は13と打った時に横3石を返し忘れ。ショックを受ける大内三段。しかし以降の白の打ち方もなかなか難しく、明確な優勢を築けないままに互角の終盤戦になってしまいました。白は50でどう打つべきでしょうか?

ゼブラによれば白の唯一の勝ち手は50g6とのことです(白+2)。実戦のh2が敗着なのですが、その理由を理解するのは容易ではありません。

結局2勝4敗、20人中14位でした。オセロは難しいですね…。


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