流山オープン

日曜日は流山オープンに参加しました。途中からマシアスと待ち合わせて一緒に行動します。「今日は何人ぐらい参加しますか?」と彼が聞くので、「30~40人でしょう」と言うと「世界選手権以外に、ヨーロッパの大会で30人を超えることはほとんどありません」と非常に驚いていました。


1回戦
●菱山裕一 Hishiyama Yuichi
○村上 健 Murakami Takeshi

26は斜めが返らない時に打ちたかったのですが、ここはa5の方が良かったようです。33はf1が嫌でした。白がe1に入ると斜めが返り、白b1は上辺に悪形。手を抜くと黒e1で手得されます。43で黒はどこに打つべきでしょうか?

正解は黒g8。次にd7~g4の斜めラインを通す黒h4が好手なので、白はh4→黒h3、あるいは白h6→黒h7と打ってから左下の5個空きに打つことになります。しかし白b8と打っても、あるいは白c8→黒b8→白b7と打っても、黒にはまだ右辺に手が残っています。これなら黒やや優勢でした。

実戦の43が敗着。白44と打たれてみると、以後黒がどのように打っても偶数理論の効く形になってしまいました。



2回戦
●三屋伸明 Mitsuya Nobuaki
○村上 健 Murakami Takeshi

この試合は好局です。24~26は私の好きな辺取り種石消し作戦。白はh1の隅を取られると大敗ですが、黒も種石がないためなかなか攻めが効きません。33でb2は、白a4で黒がc1に当てられなくなるため駄目です。35でb2も白a3でやはりストーナーはかからないのですが、この展開で次に黒g6→白a1とすればa2の余裕手もあり黒の簡明な勝ちでした。黒の種石不足を利用して白が勝ったと思ったのですが…。読者の皆さんは54でどこに打ちますか?

「双方が打てる一個空きには先着せよ」という終盤の金言があります。残り時間が僅かだった私はほとんど機械的にこの格言通りに54a5と打ちました。これで白が勝っていると思ったのですが、並べてみれば分かるようにブラックラインの黒通しが効いて黒の快勝に。

54の正解は白h6! 以下a5→白パス→黒b2→白a1→黒a2→白パス→黒g2→白h1で白の8石勝ちです。ゼブラにこの手順を教わって愕然としました。b7の白石が要だったのですね。。。



3回戦
●香取通浩 Katori Michihiro
○村上 健 Murakami Takeshi

香取四段は非常に強く、私はいつも苦戦します。25は白の打ちたい所に先着する好手。26は第一感b5ですが、黒f1からb6を狙われて自信が持てませんでした。28はb6がベター。以後白はどんどん苦しくなります。37はどこが良いでしょうか?

実戦37(g7)が絶好手! 38はなんとかh8に打つための苦しい限りのX打ち。そして39。この手は次に黒a2→a1の連打を狙った好手に見えるのですが、なんと20石差損の悪手だというのだから分からないものです。正解は平凡な39a1。次に白a2なら黒f1と取るのが絶妙手順。次に白が予定通りh8と隅を取るとc列が白一色になり黒c1→b1の連打があります! これはなかなか浮かびませんね…。40~43は全て最善手で引き分けの形勢。そしてc8が2石損。理由はよく分かりませんがb7が最善とのこと。45でどう打つべきでしょうか?

これも人間にはまず読めないと思うのですが、正解は黒h7! 右辺の2個空き(h5とh7)は、どちらかに白が打てば他方に黒が割り込めます。しかし実際にはg7の白石を白のまま残すのは難しく、g7が黒になると白h5→h7、あるいは白h7→白h5の連打が狙えて、黒はまずその連打を防ぐことはできません。そして黒h7→白h5ならば右上が白の打てない5個空きになります。なので黒h7の後に白h5とは打ちにくい。以上のことから45でh7と非常に打ちにくい場所に敢えて打つのが正しいようです。以下白d8(奇数空きに先着する手)→黒a1→白b1→黒f1→白h5とほぼ一本道ですが、次に黒g2とX打ちし、白がh2でもg1でも右上の連打を含みにして黒が僅かにリード、ということのようです。いやぁ、難しいですね…。実戦45が敗着で、以下は比較的簡明な白の勝ち局面になりました。



4回戦
●村上 健 Murakami Takeshi
○マシアス・ベルク Matthias Berg

今回マシアスと会うのは2回目で、最初は2000年の世界選手権(コペンハーゲン)でした。しかしその時は当たらなかったので、これが彼との初めての公式戦となります。私の好きな序盤から26で白が長考。f8と当てるかg8と離すか迷ったそうです。ゼブラの評価ではどちらもほぼ同じで、形勢は互角。32は好手。35ではd1に打ちたいところですが、白a7と打たれるのを嫌ってb7に先着。38は白a8→黒f8→白f1も有力。非常に微妙な終盤戦に突入しました。

51の第一感は黒f8。以下白a8→黒a7で、次に白g2なら黒h7!が好手。しかし白はg2と打つ前に白h7!→黒h8と交換してからg2で偶数理論に入ります。これで足りるかどうか自信がなかったので次に51h8を考えました。以下白h7→黒g1…を数えて余裕で黒が足りていたのでh8に着手。しかし白の次の手を見落としていました…。

52が好手! 次の黒f8は必然で、この交換を入れてから白h7と打たれて右下の石の残り具合が黒h8→白h7の時とは全然違います。「逆転負けしたか」と思ったのですが、なんとも幸運なことに2石足りていました。



5回戦
●山川高志 Yamakawa Takashi
○村上 健 Murakami Takeshi

最近よく打っている序盤です。「24はb1も有力ですよ」と局後に山川五段。しかしなかなか恐い手です。30ではe7やg6も考えたのですが、以下黒h4→白h5→黒g2!とブラックラインを通されると苦しいと思い却下。32~36が恐らく敗着。一見うまそうな手順に見えますが、左上方面に白の種石がほとんどなく白は攻めの手掛かりを失ってしまいました。

32では白g6→黒h4→白h5→黒h6→白h7→黒g2→白e8…でまだ粘れていました。白38となった形はほとんど黒必勝。黒は10分ぐらい残っていたのですが、ここから全ての手にたっぷり時間をかけて結局20分をほとんど使い切って寄せました。間違えようのなさそうな局面で、僅かな逆転の種も蒔かないように徹底的に読む姿勢に山川六段の充実ぶりを感じました。



6回戦
●村上 健 Murakami Takeshi
○金子昴大 Kaneko Koudai

金子三段は麻布オセロ部の部長です。山川六段に続き麻布対決になりました。この試合は35で迷いました。d2も有力だと思ったのですが、次白b3で白やや優勢のようです。非常に難しい中盤戦ですが、読者の皆さんは37でどこに打ちますか?

正解はなんとc7! この手は全く考えませんでした。以下白b6なら白黒a7!→白d2→黒b2!(白d2が先でも黒b2!で同じ展開になります) なんという大胆不敵な手順でしょうか? 次に白b7なら黒a6で白はc8に当てられずストーナーが成立しないのです。

37c7のあとに白f1やg1も考えられますが、いずれも黒から凌ぎの筋があります(余りにも数が多いので省略)。とにかく37c7なら引き分けの形勢でした。これはちょっと人間の能力を超えていますね。実戦37以降も頑張ったのですが、金子三段の応手が非常に的確で逆転機は訪れず。参りました…。

結局私もマシアスも3勝3敗でした。優勝は長尾広人六段。彼のような努力家のベテランが優勝するのはとても嬉しいですね。大会後は20人近いオセラーで食事をしました。マシアスを囲んで色々なゲームやおしゃべりを楽しみ、自宅に着いた時は11時を過ぎていました。


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田中俊太郎

またまた熟読させていただきました、ありがとうございます!
村上さんのような強い方の自戦解説は面白く、勉強になります。

もしかしたら打ち間違い・・・?と思った箇所を箇条書きします。
もし修正できましたら、今後このブログを読む方がわかりやすいと思います。
出過ぎた真似で、すみません。

第1局
黒にはまだ左辺に手が残っている・・・左辺ではなく右辺(?)

第3局
51でどう打つべきでしょうか?・・・51ではなく45(?)

第4局
51の第一感は黒f8。以下白a1→黒a7で・・・白a1ではなく白a8(?)



by 田中俊太郎 (2013-01-16 07:36) 

murakami_takeshi

田中さん

熟読したとのこと、書いた甲斐があります! ありがとうございます。

御指摘のミスは早速直しておきました。特に第3局の間違いはかなり大きく、直せてよかったです。どうもありがとうございました。


by murakami_takeshi (2013-01-16 22:31) 

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